東南アジアニュース/イメージ画像

カンボジアの対中姿勢に変化―地域の緊張の高まりで

記事の概要

東南アジア諸国の中で親中派として知られてきたカンボジアが、先日東京で開催されたASEAN特別首脳会議で日本よりの姿勢を示した。

ASEAN各国にとって中国は重要な貿易相手国である。また、カンボジアにとっては重要な経済支援国である。このため、カンボジアも含めてASEAN各国は今まで中国を直接的に刺激することを避けてきた。

今回、親中派であるカンボジアが中国の気に触るような動きを見せたことは、最近の中国の東シナ海での威圧的な動きが東南アジア各国の中国に対する懸念を生み、反発を招きかねないことを示している。

元の記事を読む→ 【2013年12月24日:Wall Street Journal

中国に歯向かったカンボジア

ちょっと古いですが、東京でのASEAN特別首脳会議でのカンボジアでの動きについてウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事です。

まず今回の会議で、日本やフィリピンは対中国でもう少し踏み込んだ内容を宣言に盛り込みたかったけど、他のASEAN諸国の反対で見送られた。カンボジアはその筆頭だろうと思ってました。

中国が防空識別圏を設定した直後で日本で行われる会議。その会議が中国にとって不利な内容にならないようにする。カンボジアがその役割を演じるのだろう。そんな感じに僕は見ていました。

ですが、WSJによるとそうではなかったようです。上空飛行の自由を守るための協力で近隣諸国だけではなく、中国のライバルである日本とも結束することを打ち出した。また、日本とカンボジアの関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げすることが発表された。

WSJはカンボジアのこれらの行動を、東シナ海に防空識別圏を設定して新たな恐怖を呼び起こした中国に対する「あからさまな当て付け」と評しています。

カンボジアにとって中国は最重要国と言って良いでしょう。中国にとってカンボジアはよく言うことを聞く忠実な国という位置付けかもしれません。でもやり過ぎるとしっぺ返しを食らうよ、と。なるほど、そういう見方もあるわけですね。

外国は日本をこう見てるのか

今回のWSJの記事で、もう一つなるほどと思った内容があります。元記事から2ヶ所抜粋します。

「安倍氏は、彼の世代では日本で最もナショナリスティックな政治家の一人で、憲法改正を生涯の目標に掲げ、第2次大戦中の近隣諸国への残虐な攻撃を「侵略」と定義することにまで異議を唱えている。」

「安倍氏の姿勢は、中国や韓国の反発を買っているが、東南アジアの一部諸国の間では日本の軍国主義の復活への不安よりも、中国の長期的な戦略をめぐる深い懸念の方が強い。」

安倍さんって確かに右寄りですけど、欧米(少なくともWSJ)では極右政治家みたいに思われてるんですね。また、「日本の軍国主義の復活」って、何よりも日本人自身がそれを望んでいないのに、欧米ではその可能性を捨てていないということでしょうか。

海外のメディアにもこまめに目を通さないといけないな。そう思わせてくれた今回のWSJの記事でした。